【日本の人間学教育】の教科書がない
◆【日本の人間学】を、現代の若者世代層が学ぶための「教科書」なるものが、現在の日本に存在しない中で、手探り状態で作成を始めながらも、独自の教科書作成に取り組みました。
◆そして、これを実際に20歳代から60歳代までの様々な年齢の方々向けに使用しつつ、内容や進め方の創意工夫を繰り返しながらも、ある大きな壁に気付かされました。
◆これを大きく分類すると、下記の3つの壁にぶつかりました。
1.現代の学校教育による“制度の壁”
2.年齢や年代による“物理的な壁”
3.経済的豊かさと平時慣れによる“意識の壁”

1.現代の学校教育による“制度の壁”
◆江戸(徳川)時代の【人間学教育】は、6~7歳から「四書」の「大学」や「論語」などを【素読(丸暗記)】することから開始しました。そして、15歳前後から【講義・講釈】が始まり、同じく15歳頃から【講義・講釈】と並行して【会読】が行われていました。
現代で言えば、小学校入学時から「大学」や「論語」を学んでいたことです。
◆明治時代から太平洋戦争勃発前までの【日本の人間学教育】は、尋常小学校に6歳で入学して「修身」を授業で行っていましたが、GHQ政策により、「戦後の学校教育」から完全に「修身」が抹殺されました。戦後75年以上を経過した現在では、どの会社でも学校で「修身教育」を受けた人は、完全にいなくなりました
◆「現代の学校教育」は、生活を成り立たせる(生活費を稼ぐ)ための「知識や技術を習得」させる【時務学】を基本にした教育内容です。「知ること(知識)」が中心の授業であり、「考えること」と「実践すること(判る=行動=身に付ける)」の根本を教えていません
また、教える側である教師も【日本の人間学】を学んでいないため、若者世代が就職しても「考えること」と「実践すること」の根本を理解できていないのです。
◆それなら、「戦前までの“修身教育”の教科書を使えばいいのでは?」となりますが、明治から戦前までの修身教科書の内容は、先人(偉人)たちの「善い行い」を徳目ごとに分類して掲載されており、それはそれでよいのですが、その先人(偉人)たちが「善い行い」をするために、「何を学んだのか」の内容(大学や論語)と、その徹底した教育カリキュラムが見当たらないことです。
◆戦前の「修身の教科書」には、善い話(事柄)をたくさん、かつ判り易く記載されていますが、善い話(事柄)で現在の若者世代の「心」に響くのかどうかです。「知識」を詰め込む教育方針に慣れきっている若者世代には、結局のところ、頭(知識)で終わってしまうのです。これは、若者世代向けに【日本の人間学】を行ってきた実体験でもあると同時に、社内研修を行っている経営者自身も感じていることではないでしょうか。
◆若者世代向けの最大のポイントは、入社するまでは【日本の人間学】なる言葉も知らず、新入社員時点(22歳)から彼らが学んだやり方で入って、段階的に「心に伝え」、そして「心に残し」、身近なことから実践させて、行動することで「事」が進むことが判るように段階を経ることに尽きます。

2.年齢や年代による“物理的な壁”
◆戦後75年以上を経過した現在では、どの会社でも学校で「修身教育」を受けた人は完全にいなくなりました。これまでに【日本の人間学】を20歳代から60歳代までの様々な年齢・年代の方々に行ってきましたが、そこで気付かされた大きな壁の2つ目が、40歳代以降の方々で自分自身(独学)でも【日本の人間学】を学んでいない人は、頭の中が完全に【時務学】で固まってしまっていることです。
これまでの自分自身の成功(失敗)体験に縛られてしまっている強い傾向があります。また、「俺たちは、社長や上司・先輩たちから、ノルマなどの目先の成績(結果)重視で評価された」という意識も強く、かつ時代の変化に通じなくなくなってきている自分自身を守る傾向が強くあることです。
40歳代以上の人たちは、「海老の如く」自分自身の殻を破ろうとしません(破ることを嫌う傾向が強い)
ゆえに、これまでの実体験から会社が【日本の人間学】を大々的に取り組むべき年齢・年代は、40歳未満の方々を対象にした方がよいと薦めています。そして、40歳代以上の年齢・年代の方々には、【日本の人間学】を学ぶことを一般的には控えるように勧めている次第です。ただし、40歳代以上であっても「やらないよりは、やった方が良い」ことは確かです。
◆この年齢・年代に区切った場合に考えられる問題が、会社の業績が悪化したときの判断基準になります。40歳代以上の方々は、このような場合には「会社を存続させることが正しい判断基準」になっていることです。
この大義名分によって、顧客や取引先を多少ごまかしても「会社を存続させることが正しい判断基準」だと思い込んでしまっている傾向があります。ここに、【日本の人間学】をしっかり学んだ40歳未満の方々と、完全に【正しい判断基準】でぶつかることになることです。

3.経済的豊かさと平時慣れによる“意識の壁”
◆我が国の先輩諸氏の努力により、戦後復興を成し遂げた今日は、企業規模の大小によらず、正規従業員の給与は、通常の生活レベルを維持できる水準にあると言えます。(非正規の方は別ですが…)
また、現在の労働関連法は、正規従業員の雇用を守る視点が重点的であり、日本の国力(企業力)を上げるための内容とは相違しているように感じてなりません。そのために、ある程度の努力する従業員はいますが、努力しない従業員に対しては、会社側が有効な手を打つことができない、との声も聞かれます。
◆戦後75年以上、内乱らしきこともなく、かつ経済的豊かさ(平時)に慣れてしまったため、会社の危機的な状況になっても、自分自身の生活確保を第一に考える【小人型】の従業員が一般的(普通)です。
また、会社の多くの経営トップも、自社の利益のことだけで、若者世代の将来を見据えた国家観が感じられませんいかに自社だけを成長(儲け)させるか、金儲けの親玉みたいなのが会社の経営トップに多すぎるようにも感じています